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 〜孟宗の孝行故事〜

春の味覚を代表する、筍。イネ科の植物で中国が原産ですが、日本でも古くから親しまれています。 竹に旬という字は「成長が早くて、旬日で竹になる」ことから筍の字があてられました。(旬日=10日間)現在主流となっている孟宗竹は1736年に中国より渡来したもので、琉球、薩摩を経て各地に広まりました。それまでは古来より自生していたマダケやハチクが食されていたと言われています。
味の良い筍の代表、孟宗竹。孟宗竹という名前の由来ともなった、中国二十四孝の一人、孟宗の話をご存じでしょうか。幼くして父を無くした孟宗が、老いた病気の母の欲しがる筍を探して雪の中を歩き回り、とうとう掘り当てて、孟宗の母は元気を取り戻した、という故事です。
二十四孝とは、中国の元の時代に郭居敬という人が選んだ24人の孝子(孝行者)をいいます。

 

二十四孝詩選
孟宗「哭竹生笋」

泪滴朔風寒  蕭々竹敷竿
須臾春笋出  天意報平安

孟宗は、いとけなくして父に後れ、ひとりの母を養へり。
母年老てつねに病みいたはり、食の味はも度毎に變りければ、よしなき物を望めり。
冬のことなるなるに、竹の子をほしく思へり。
即ち孟宗竹林に行きもとむれ共、雪深き折なれば、などかたやすく得べき。
ひとへに天道の、御あはれみを頼み奉るとて、祈りをかけて大きに悲しみ、
竹に寄り添ひける所に、にはかに大地ひらけて、たけのこあまた生出侍りける。
大きに喜び、即ち取りて帰り、あつものをつくり、母に與へ侍りければ、
母是を食して其のまま病もいへで、齢をのべたり。
是ひとへに、孝行の深き心を感じて、天道より与へ給へり。 

(2005年4月掲載)

 

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